アイスランド火山噴火で、航空業界はてんやわんやだそうですね。 それで思い出してみました。

もう20年前の回想記事ですが、、、、、

 

「おい、おかしくないか?」と私。

Yacht仲間のN君「何か変ですか?」と一向にお構いなしの様子。

ここはシベリア上空高度一万メートル。

不思議なことに帆走の経験を積み重ねると、自分が操縦していない乗り物でも現在のス

ピードが巡航速度なのかどうなのかが判ってくるものなのです。

 

「スピードが出てないぞ、この飛行機は・・・」

早速キャビンを見回して係りのお姐さん呼んで” How fast are we flying now ?”

しばらくして件のお姐さん" We are flying at 700 Km/H"

「パリまで6200マイル(ノーティカルマイル)だから700キロは385ノット、6200をノットで割ると・・・

16時間、そら見ろ、今日中には着きそうもないな」

今日中というのはニース空港への話、シャルル・ド・ゴールで国内線に乗り換え、今晩は

モナコのホテルで優雅?にくつろぐ・・・筈であった。

うとうとしていると機長のアナウンス、強い向かい風のため燃料消費が予想より多く、コ

ペンハーゲンに寄って給油します。

「妹尾さんの言った通りになりましたね」

給油中にコペンハーゲン観光でもサービスしてくれるのならうれしいが、それはとても夢

物語。冬季はジェット気流が通常シーズンより強く、多少の遅れは計算に入れ接続便を予

約しておいたが、途中給油までは考えもしなかった。

 

結局、4時間遅れでシャルル・ド・ゴール着、ニース行きの最終便なんかとっくに出発済。

今から市内に宿をとるのも変な話、AirFranceカウンターで事情説明、航空会社負担で空港

傍のホテルを取らせた。「それにしても腹減りましたネー」とのたまうN君のリクエスト

に応えんと再度、カウンターに戻りミール・クーポンをゲット、ステーキ夜食にありつい

てさっきの怒りもどこへやら。正当な主張には先方もいやな顔ひとつせず応ずるが、黙っ

ていてもあれこれやってくれる日本の習慣、海外ではとても通用しない。

 

あけて翌朝、12月なのにいい天気だ。キーンとキャビンに心地よいエンジン音が響く。

やがてマルセイユに到着とのアナウンス。えーっ!?ニースの間違いでしょう?

これ現、間違いなんかじゃありません。ハプニングは昨晩だけでは終わらなかったのだ。

朝一番、空港カウンターで手続きをと思ったら、ナヌ?飛ばないって!

「いくら待ってもニース空港は職員ストでオープンの見込みはありません」きわめて事務

的な説明に怒りも何も通り越し、かといって、はいそうですかでは済ませんぞ今度は・・・・・

「じゃあ地中海側の開いている空港は?」「マルセイユ」「で、便は?」「4時間待ちです・・」

そうか日本で云えばここは成田か、羽田じゃないのだと変に納得(意外と冷静)、でも負け

てらんない。「国内線の空港があるでしょう?」「ウイ、オルリー」「離れてんだろ?ここか

ら」「ちょっとばかし・・・」と続いたが、バスチケットもらって1時間半後、

無事オルリーから機上の人となったということだ。

 

こうもハプニングが続くと「本当にマルセイユだろうな?」と多少疑い深くなって空港

前の看板を眺めると、なんとなく南国っぽい。面白くなってきた!

こんな事もあろう?かと出発前N君に国際免許証を取らせておいたのが先見の明。ハーツ

レンタカーの黄色の看板がやけに目立っていたので、そこで車を借りようとしたが何せ予

約なし。「メルセデス? 小型のプジョーでよければ・・・」ということで、早速マルセイユの街を

一路モナコに向け出発。

「どこかで買いましょうか?道路地図」とN君。

「要らんやろうそんなもん、右に地中海見てゆけばそのうち着くやろう」と私、、、

 

これがまさかミラノまでのドライブの始まりだとは予想だにしなかった。

 

太陽も地中海も右手にあればオンコース、地図なんか見なくたって・・・とは言ったもの

の、モナコがどれくらい先に位置し何時間くらいかかるのか見当もつかない。しかしなが

ら野郎二人の気まま旅、陽光いっぱいに浴びた地中海岸ドライブは予想以上の楽しさだ。

 

N君の長女の名前は紗奈(セナ)目的地はモナコ、となれば鋭いあなたなら何か閃いたは

ず。そう、アイルトン・セナ・・・彼はN君のもっとも尊敬するに足る不世出のドライバ

ー。セナが最も得意としたモナコの市街地コースをこの眼でじっくり見ようというのが今

回の旅のきっかけ。今だったらこんな動機で出掛けたら、おバカさん呼ばわりされるかも

しれないけれどバブル全盛の当時、何の疑問も抱かずに出掛けたから向こう見ずといえば

そうなのかもしれない。


さきほどより地名標識にカシスとあるが「カシス・シャーベットのあれだろうか?」なん

て話しているうちにツーロンに近づいたようだ。お昼もまだだしツーロンといえば港、港

町名物は”ブイヤベース”、それしかなかろうもんとばかり高速降りて街へとやってきてビックリ。

大宰府の梅ケ枝餅屋さんを想像していただければ当たらずといえども遠からず、どこもブ

イヤベースが売りのようである。呼び込みこそないが、さてどうしたものか?「店頭のワ

インリスト見たらいいと思いますよ」とN君、なかなかするどい。1000円のワインも1

10000円のでも同じお酒の私には浮かばぬ見事な発想ではある。やがて店は決まった。

「フリュ・ド・メール エ ブイヤベース、シルブープレ」で、、、なんとかなった。ワイ

ンで前菜の海の幸盛り合わせをつつくうちに、それはお出ましになった。サフラン色がや

けに鮮やかなブイヤベース・・・えっ?二人顔を見合わせて中を覗き込むがスープだけ。

ははーん、本場は違うよな本場は!魚は粉々に出汁に溶け込ませてそのエキスたるスープ

だけ頂くっていうわけか。飲むというより食べてみるというのが適切な表現、ウーン、う

まい!ガーンと後頭部を刺激されたような不思議な舌の感触、私のグルメ経験にない範疇

のそれは見事なスープである。出されたパンもよほど美味いのか、見ているとN君のパンの

お代わりが23度、でかいスプーンで口に運ばれるスープの香りで魔法にかかった二人。

が?! ちょっと待って!

何か奇異な視線を感じるのにそう時間は掛からなかった。「笑っていますよ、隣の夫婦」N

君に指摘されるまでもなく、私も感じていた。見ると連中、魚も食っているじゃないの!?

静寂の後それはやってきました。サフラン色の魚介類が大きな皿いっぱいに盛られて我々の

テーブ
ルに。「早すぎたわけですね?結局」いつも嫁さんに言われていたのを思い出した。

「ゆっくり食べてください、ゆっくり・・・」しかし今となってはもう遅い、タラ
イのよう

にデカイ器一杯のスープは、もうほとんど二人の腹のなか。それにパンは原型の2〜
3には

膨れているはず。お皿の魚が恨めしい、以後ブイヤベースとなると必ず、魚介類から手をつけ

スープは後回しにすることに決めている。

 

昼前に降りた高速道路に再び乗っかって、コートダジュールドライブの開始だ。コートダ

ジュール・紺碧海岸はここツーロンから、おじサンにはなんと心地よい響きか、イタリアは

サンレモの西側あたりまでをいう。それより東はこれまたおなじみ、リビエラ海岸だ。

それにしてもこの車「アクセルいっぱいに踏みようとですがねー」にしては力不足、後続

の車が次々に前に出てゆく。頃は12月初旬、特にコレといったイベントが無いからこんな

にスイスイ東進できるが、これがカンヌの映画祭・ニースのカーニバル・モナコのF1グラ

ンプリに重なろうもんならこうはゆかないのだろう。

さっきから海を見つめているN君、「多分違いますよ、ここの海水は・・・」変なことを突

然言い出すから何かと聞けばこうだ。大陸に囲まれたここ地中海と、囲うもののない日本

の海水はその濃度が違うのではないかと・・・・・ルネッサンスに開花した芸術も科学も

先ず、自然を素直に見つめることから始まったことからしてもここは実証・実証。回り道・・・

海辺やって来て
車を止め、なめてみることにした。「しょっぱいですね、やっぱり」私もなめ

てみた
「どこが?」個人差の問題だなコリャ。お気楽といえばお気楽、見る人が見ればと

ても大
人のやりとりとは思われぬ「おかしいんとちゃう?あの二人」であった。

 

夕方前、世界で2番目に小さな国モナコ公国に滑り込んだ。おさらいではないが皇居二つ

分、ブーンと加速してかっ飛ばすと越境してしまう広さだ。政庁がモナコでカジノはモン

テカルロ、そのカジノに近いロータリーの向こうに宿泊先はすぐに見つかった。

が!玄関の車寄せを見ると、ベントレーにフェラーリ、もちろんメルセデスも・・・・・

「ちょっとゆっくり!」と私。車は仕方ないにしても風体で部屋の割り振りが決まるっ

ていうのを思い出し、「その辺りに止めようか」と車を停め、トランク開けて服を引っ

張り出すことにした。やがてネクタイにジャケット姿に変身、先ほどの車寄せへと向かう。

「黒服のボーイさんがうじゃうじゃいますよ」ここまでくれば堂々と、大きく深呼吸して、

「お客様のお着きだぞ!」

やはり車で判断されてしまったのか、エッっていうような顔のボーイさんが覗き込むがそこ

慣れたもの” I have a reservation, Mr. Senoh” と応戦。「負けんやったですね!」とN君。

ヴァレー・パーキングで定位置に持っていかれるプジョーの後姿、それはそれは小さかった。

 

モナコで思い出すのは道路、Fー1グランプリのコースだね。本番のとは一方通行なんかの

関係で多少違うけれど、PCゲームのモナコGPで覚えた景色が現実に展開するものだから

N「あと1周」「もう1周だけ」で結局10回以上廻ってしまった。旅のきっかけがきっかけ

だけにこれでよしとせにゃ―なるまいが、おかげでグレース・ケリーもジャック・クスト

ー関連ものも記憶は定かではない。 ニースはシャガール美術館、高級住宅街にさりげなく位置する

ので探すのに苦労した。本物?はガルニエのオペラ座以来、作者の生い立ちがなせる業か

作品は暗いのだけど夢を与えてくれて絵画素人の私にもわかり易い。アンティーブのピカ

ソ美術館、休館日。でもって旧市街の店で食った料理の不味かったこと。そう、モナコに戻ろう。

 

今朝も驚いたがホテルの朝食のことだ。N君の「昨日も今日も我々だけですよ」通り、レス

トランは貸切状態。ヨーロピアンスタイルの朝食とはいえ広い店内、パンや果物はコーナ

ーに盛り付けられているし、ウェイターは減ったコーヒーを見つけるやすぐさまやってきて

並々と注いでくれる。ベントレーやフェラーリの客は部屋のテラスで優雅に朝飯食っている

のかなあ? などと余計なこと心配してあげたくなる。親切にも「明日の出発は早いから、こ

こには来ないよ」って云って出てきたが、果たしてオープンしたのだろうか?

12月だというのにアルプスの影響か、北からの風が和らげられ思った以上に住み安そうな

街だ。山海の産物に恵まれ、その上気候が良いとくれば昔から、王侯貴族が競って別荘を立て

たのは当然といえば当然の話、お気に入りのモナコから離れがたいのは山々なれど次のスケジ

ュールのためにここを後にした。


ジェノヴァといえばコロンブスの生地、当時アドリア海に面するヴェネチアとは犬猿の仲であ

ったとか、航海術では世界最高水準を誇った町である。モナコを発ってから2時間あまりここらで

ゆっくりとジェノヴァ見物と行きたいところ・・・しかし、分岐点で北上し一路ミラノを目指す。

当初、車はモナコで返却の積りで借りたが「このままにしておきましょうか?楽ですもんね」

にこちらも同意、サービスエリアでハーツレンタカーに電話入れて「ミラノまで借りとくよ」

便利な時代だね本当に。そういえばマルセイユ出発以来地図なしでここまで来てしまった。それ

ほどに道路は完備され、旅行者をあわてさせない程度に目的地別にレーンに乗ることが容易なシ

ステムはさすがヨーロッパだな、などと感心しながら変わり行く景色を楽しむ。


ミラノといえばドォーム、近くまできているのは尖塔を見れば明らかだが一方通行の流れに乗れそ

うで乗り切れずレーンを放り出され遠ざかるはめに。 パリの凱旋門ロータリーしかり、そうとう厚

かましく割り込んでゆかないと目指す方向には進めない。やっとの思いでドォーム着、車を降りて

完成に500年もの歳月をかけたと云われる建造物に圧倒される。ウーン・・・言葉にならない。

ホテルにも驚いた。 まさかAirFranceの手配ミス?と、確認書を取り出し見直す・・・間違いない

ここだ。「やばいですよ、ここは」、私も同感「バックしろバック!」と指図して、玄関前から車を

遠ざけ一息つく。よく見ると男同士腕組んでイチャついているのがいたりして、そうかその手のホ

テルかここは?と思いたくもなる。古い上に道路側には足場が組んであるし一旦いやになったらど

うしようも無い、何とか憎けりゃ袈裟までというやつか、善は急げとばかり此処を離れしばらく町

の様子を窺うことにする。モンテ・ナポレオーネ?聞いたことのある通りに車をいれ「ここにしま

しょうここに・・・」で、グランドホテルに決定!だが、京都で失敗の経験を思い出し直接フロン

トに行くことは避けミラノ駅へ向かった。列車に乗るのではなくここでは先ほどのヤバイホテルに

キャンセルの電話を、そして憧れのグランドホテルに予約を入れ入れるためにやってきた。でない

と「ノー・ショウ」扱いで1泊分ペナルティーを課せられるし、空室があるのに Fully booked と

体よく断られる心配がある。チェックインを無事済ませ、先ほどのモンテ・ナポレオーネを見に行

こうとオノボリサン状態で通りを進めば、知っているブランドが目白押し。入ってみるかとドアを

押せどぴくりともしない
、何だと昼休み?それも3時間もだと。天を仰げばどんより灰色の傘の下

何かこの街、相性が良くないようだ。

続編は・・・・・探したけど、、、見つかりまっせん、申し訳ありません。 「どっかにあるはずなんやけどニャ」

まあいい

この後珍道中は、アルプス越えてジュネーブへ、、、最後は花の都パリへと続いたのであります。

つたない思い出記事、読んでいただいて、、、だんだん!