17 Aug. 2018

歌劇アイーダを観て

by K.Mitiko 

先日久しぶりに歌劇「アイーダ」の全幕を映像で観ました。

 

アイーダはカルメンとともに物語も音楽も有名で、アイーダの凱旋行進曲は、

いたるところで演奏されていて、オペラに関心の無い人でも一度は聞いたことの

ある、馴染み深い曲として知られています。

 

歌劇「アイーダ」は映像ではありますが、私も何度も観ていますので、あまり

興味が持てないまま観はじめました。

 

物語は古代エジプトが舞台で、敵対するエチオピアの王女で今はエジプトの

奴隷となっているアイーダとファラオの王女アムネリスがエジプトの将軍

ラダメスをめぐっての恋のさやあてが中心となって展開されていきます。

 

アイーダを初めて演じるのは現在世界でプリマドンナ的存在のアンナ・ネプレトコ。

 

アムネリスには幅広い声域とともに演技力に優れたメゾソプラノの

エカテリーナ・セメンチュク。

 

将軍ラダメスに、フランチェスコ・メーリ

 

オーケストラはリッカルド・ムーティ指揮するウイーンフイルハーモニー。

 

「アイーダ」といえば絢爛豪華な舞台や衣裳に、大勢の登場人物、ホールに

よっては実物の馬や象が登場するスケールの大きな歌劇として知られています。



有名な凱旋行進曲の場面では独唱.重唱、合唱、バレエ、オーケストラなど

その見せ場には観る者を圧倒する迫力がありますが、このアイーダでは見せ場と

いうよりは荘厳な雰囲気で、アイーダトランペットに哀愁を感じ、ウイーンフイルの

演奏にはこの凱旋行進曲の華やかさを超えた精神性を感じました。


 

ネトレプコのアイーダは高音から低音までのびやかな声で初演の役をひたむき

に演じていて今が絶頂期の歌手だと感じさせ、アイーダを敵視して向き合う

セメンチュクのアムネリスは、その迫力のある歌唱力に舞台が緊張してアイーダに

一歩も譲らない素晴らしい歌手だと思いました。

 

将軍ラダメスのフランチェスコ・メーリは初めて知ったテナー歌手ですが、

繊細さと輝かしい高音に、久しぶりにヒーローらしい歌手の登場に心が

弾みました。

 

注目すべきはムーティ指揮のウイーンフイルハーモニーの演奏で、元日の

ニューイヤーコンサートでお馴染みですが、このアイーダは、このオーケストラ

あっての舞台だと感じました。

 

このオペラの物語にそっての演奏は、歌手たちが表現する人々の悲しみ、歓び、

高揚感などを微妙に変化しながらの音色は、アイーダの世界観を見事に表現

していて、世界で一、二を争うオーケストラだと実感しました。

 

それはそのままムーティの指揮の凄さだと思い、私のアイーダへの感動の

根幹はこのオーケストラの演奏があってこそでした。

 

新演出といえるような、シンプルな衣裳と周り舞台を生かした演出の

斬新さにその演出がイラン出身の女性演出家ということにも驚きました。

 

アイーダといえば、絢爛豪華、スペクタクルな表現をイメージしがちでしたが、

今回のアイーダには、この物語の陰にある戦火に翻弄される悲しみや恋のせつなさが

独唱、二重唱、合唱、オーケストラ、省略と象徴の舞台装置など最高の総合

芸術によって表現されていて、このオペラを観て80歳を超えて感動できた

幸せを感じました。




このオペラはやがて伝説となるのではないでしょうか。