15 Nov. 2013

秋の上野 美術館巡り TH

*****

その3「法隆寺宝物館」東京国立博物館

博物館の案内図で目に止まった「法隆寺宝物館」に初めて行ってみました。
法隆寺に伝わる宝物を収蔵し展示する場所ですが、
なぜそれが奈良にではなく東京にあるのでしょう。

解説によりますとこれら300件余りの文化財は、1878年(明治11年)に
廃仏毀釈で困窮した法隆寺から皇室に献納されたもので
その際の下賜金1万円で寺の堂塔が維持され、同時に宝物の散逸も回避されました。

戦後、宝物は東京国立博物館に移管され、
現在は1999年竣工のこの法隆寺宝物館に収蔵されています。
こうして正倉院宝物よりも古い、7世紀を中心とした
日本の古代美術コレクションが形成されました。


前庭に方形の池を配した和モダンな建物がすっきりと現れます。
人影が殆どないので、休館?と思ったほどでした。

                               法隆寺宝物館    1999年     谷口 吉生設計                                    
 

池の向こうに見えるのは、鳥取藩池田家の江戸上屋敷の正門が移築されたものです。
左の緑のドームは表慶館です。
だいぶ日が暮れて来ました。休日の上野公園の喧噪とは別世界の静かさです。



建物とマッチしたモダンな木のインテリアです。


これより法隆寺宝物を観て行きます。

《灌頂幡》

階段ホールの高い天井から吊られていた国宝金銅灌頂幡(かんじょうばん)です。
薄い金属板に如来像や飛天の透かし彫りが入った、5mほどの下げ飾りで、
伽藍や柱に取り付けられました。
670年ごろの奉納と推定されています。これは展示用のレプリカです。 

                    参考画像




左図 よく見ると中央に如来像、左右に飛天の透かし彫りが。
 
                     
                
国宝 金銅灌頂幡 飛鳥時代 7世紀 法隆寺宝物館 参考画像



《金銅仏》

四方から観れるよう個々のガラスケースに入った
四十八体仏と総称される
たくさんの金銅飛鳥仏が、部屋一杯に整然と並んでいます。
538年に伝来した仏教の大陸的な雰囲気が
かえって新鮮に感じられます。
どれも高さ約30cmの小さな仏像で、豪族達が礼拝用に所有していました。


 
これら飛鳥仏のいくつかを紹介します。
 

重文 菩薩半跏像 飛鳥または奈良時代  参考画像 

重文 観音菩薩立像 飛鳥時代 7世紀   参考画像

 
重文 如来座像 飛鳥時代 7世紀  参考画像

 
重文 摩耶夫人及び天人像 飛鳥時代 7世紀      参考画像


《押出仏》
 
これは押出仏といわれ、薄い銅板を銅製の仏像型にあて
鎚で叩いて造られました。
右の観音像は左の三尊像と同じ型を使用して量産されたと見られ
当時の観音信仰の隆盛を裏付けています。

                                                                        
    
重文 押出阿弥陀三尊及僧形像 押出観音菩薩立像 飛鳥時代 7世紀     参考画像



《金工》
 
 
国宝竜首水瓶です。
蓋に付けられた竜の頭、胴に刻まれた天馬、
形はペルシャ風ということから、これまで外来品と考えられて来ましたが、
最近の科学的な検証から国産とされているそうです。

国宝 竜首水瓶 飛鳥時代・7世紀   参考画像

 

こちらは聖徳太子愛用の品々だったとのことです。
スプーンはいろいろな形があったのですね。

国宝 金銅墨床, 金銅水注, 金銅匙 唐または奈良時代 8世紀     参考画像



白銅製の国宝海磯鏡(かいききょう)です。

光明皇后が天平8年(736年)の聖徳太子の命日に
法隆寺に納めたと記録に記されています。

国宝 海磯鏡 唐または奈良時代 8世紀  参考画像

上記の海磯鏡の部分画像です。山、木、人、鳥、波が細かく表現されています。



《伎楽面》

伎楽面は伎楽と呼ばれる当時の仏教儀式に使用された仮面です。
異国的な容貌のものが多く、朝鮮半島から伝わりました。
東大寺にも同様のものが多く収蔵され、大仏開眼の儀式にも登場しました。
伎楽はその後雅楽に押されて衰退して行きました。


  

   

    
まだまだ珍しいものがいっぱいありましたが今回はこの辺で。
とにかくここは日本美術が国風的になるずっと前の
大陸文化直輸入の頃を想像できる場所です。

これらの次に来る日本古代美術の一大コレクションである
正倉院宝物も是非観てみたいものと思いました。

最後にホテルオークラが館内でやっている
小さなカフェレストランでお茶を飲んで帰りました。
3箇所観るとこの歳では疲れます・・・。ちょっと反省でした。


―終わり―