17 Feb. 2014

Klaちゃんと二人で遠足気分_デン・ハーグに行く

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ミニミニホテルの朝食。質素だがハム類数種、チーズはオランダだから豊
富、野菜、ゆで卵、シリアル、ミルク、ヨーグルト、ライ麦パン、白パン、クロワッ
サン、バター、ジャム、ママレード、ヌテラ(チョコペースト)、コーヒー、紅茶、
緑茶、ハーブティー、林檎、オレンジ、バナナ一通り揃っている。


トラムに乗る。アムステルダムはグラハトが多いから地下鉄路線は少ない。5
両連接のトラムが発達しているが、やや割高感。昔ながらの狭い通りは単線
区間もある。


アムステルダム中央駅は東京駅がモデルにした駅だが、規模は大きくない。
Klaちゃんの後方に見えるのは、ドイツのフランクフルト方面行きインターシティ。


iPhoneでパノラマ写真が撮れることを、klaちゃんから教えてもらった。


2階建て通勤快速。


デン・ハーグは北海沿岸にある。片道50分。


マウリッツハイス美術館はオランダ王室の美術品、泰西の名画が展示されて
いる。ここにフェルメールを見に行くつもりだったが、現在改装工事中。主な
絵画はその間デン・ハーグ市立美術館に展示されている。


そこでデン・ハーグのスケベニンゲン地区にある市立美術館に行くことにな
った。スケベニンゲンは海岸の保養地で、夏は特に賑わうらしい。福岡でいう
と百道浜海浜公園か?

デン・ハーグをオランダ語風に表記すれば、デン・ハーヒェでしょうか?
スケベニンゲンもオランダ風にはスヘーフェニンゲン。
まるでスケベすぎがたたって足腰要所ふにゃふにゃ、よれよれになった誰か
みたいで、何とも締まりがない


「スケベニンゲン北部海浜」行きトラムに乗って行く。


デン・ハーグ市立美術館はマウリッツハイス美術館とは様相異なり、モダンア
ートで有名な美術館だそうです。モンドリアンがオランダ人とは知らなかっ
た。世界最大級のモンドリアン・コレクションがあることも知らなかった。後述
するように今回は音声ガイドに気を取られて、まったく見なかった。また来な
くては。画像は同美術館ホームページから。


[プロテスタント国ならではの集団肖像画]
ここからがマウリッツハイス美術館収蔵品。「テュルプ博士の解剖講義」 レン
ブラント作。医者なら誰でも知っているこの有名な絵に、お目にかかることが
出来た。これは壁いっぱいに描かれた、実物より大きな解説画。恥ずかしな
がら私は長年、オランダ人は解剖する時でも黒い正装を着てるのだろうか
と、半信半疑で想像していた。こちらで様々な絵を見て解ったことは、これは
同業者組合(ギルド)の集合肖像画である。「夜警」が市警団の肖像画の型破
りの構成であったと同様、これは外科医ギルドの集合肖像画である。医師会
館エントランスホールに燦然と掲げられるべき、権威ある、格調高い絵なので
ある。だから人々が正装で描かれるのである。いろいろしきたりがあったらし
い。因みにテュルプTulp とはチューリップのこと。

絵をX線解析すると、後方最上段の男性は当初テュルプ博士と同様の帽子
を被っていた。しかしテュルプ博士に敬意を表するため、彼の帽子をは消す
ことになった。博士は上肢屈筋群の構造について講義している。屍体は凶悪
な犯罪を繰り返し犯したため、その日早朝市の広場で絞首刑にされた男で、
名前も判っている。しかしX線解析したところ、この男の右前腕はなかったこ
とが解った。それが罪に対する罰の一つであったのか、それより以前から右
腕がなかったのか、それは調べても判らなかったとある。レンブラントは右腕
をあるように描くよう依頼され、そのとおりに描き直した。

この絵を中心とした特別展が組んであり、他に外科医組合の集合肖像画が
幾つもあった。どれも外科医達は屍体を中央に、整然と並んで着座か起立位
で描かれていた。


[解剖・外科教育としての絵画]
この絵もレンブラント作。屍体はやはり凶悪犯罪故に、死刑を執行された男だ
そうだ。左に立っている助手の男性が切り離された頭蓋骨を持っている。腹
部は既に開いてあり、絵では脳の解剖が始まっている。左右に剥がされた頭
皮の内部に脳硬膜が僅かに描かれているのが見える。解説ではレンブラント
が屍体をこのように格好にして描いたことで、解剖学的に正しい構造を見る
者が理解しやすいという好結果が得られたなど、コメントしてある。

オランダでは17世紀、このようなギルドの絵画だけでなく、市民の肖像画が
沢山描かれた。それはプロテスタントの国としてカトリックのスペインから独
立したこの国では,教会からの絵画依頼を期待出来なかったことが大きな理
由である。興隆した海洋帝国の人々はその富を自分の肖像画を作ることに充
て、誇りと権威付けをしたのである。


人体解剖はルネサンス以降広まったようだ。解剖を題材にした絵も今回の特
別企画に集めてあった。展示されていたこの絵は、1559年発行の解剖学教
科書の表紙。


やっとフェルメール。自宅のアトリエで制作に専念したフェルメールも、若い
頃は先達に習って ギリシァ、ローマ神話に題材を求め、絵を描くことで学ん
だそうだ。画題は「ヴィーナスとニンフ達」


今回の旅行で2番目に感銘を受けたのがフェルメールの「デルフト眺望」。因
みに一番は「夜警」だった。青い空も海の青も、もちろんラピスラズリを用い
て描かれたのだろう。素人の私には解らないが、この絵に駆使された技術は
すごい高度なものだそうである。ファン・ゴッホが絶賛して止まなかったとい
う。


この絵はウィキペディアから。音声ガイドが無料で、日本語ガイドもあるとい
うので借りてみた。日本語は有名な画家、有名な作品を中心に、約4割の作
品に付いていた。ふと思いついて、各国語で音声ガイドを聞き比べてみた(ボ
タンひとつで切り替えられる)。すると面白いことが解った。

[言語による印象の違い]
日本語をもちろん最初に聴く。あたりまえだがよく解る。フェルメールやレン
ブラントが日本人であったような、彼らは当時日本語で話していて、ここが
日本であるような良い錯覚を覚える。英語は友が優しく説明してくれるよう
な親しみを感じる。ああ、英語ってこんなに言葉が柔らかいのかと気付き、英
語の良さを久しぶりに認識した。ついでだがオランダほど英語ネイティヴで
はないのに日常英語を駆使する国は他にないだろう。ネイティヴではないだ
けにオランダ人の英語は解りやすい。ドイツ語は理知的な印象を与える。そ
れは文法上の、文章の組み立て方に一因があるようだ。ドイツ語の発音には
一種のすがすがしさ、歯切れの良さがあり、嫌いではない。ただ教育的ニュ
アンスがあり、美術の先生に引率されて、見学に来たように感じる。イタリア
語は先に日本語で聴いておかないとわからないレベルだが、やや甲高い発
音で、話者の口から言葉が次々にはじけ出すような感じがする。喋るのが好
きで、楽しそうで、明るい。そんなことをやっていると「デルフト眺望」の前だ
けで30分くらい費やしてしまう。そういう訳でモンドリアンは次の機会になっ
てしまった。


「真珠の耳飾りの少女」 青いターバンが鮮やかなこの少女はアメリカ・イタ
リア巡業中で、会えなかった。しかし私もklaちゃんも既に日本で見ている。こ
の絵を覗いても今回フェルメールの作品をアムステルダムで4点、デン・ハー
グで2点見た。そしてドイツでも。


[ゴッホ美術館はあらためて 可哀想なゴッホ]
アムステルダムに戻ってきた。今晩ゴッホ美術館は22時まで開いているの
で、行くことにした。でも、期待外れに終わった。その理由の一つは若いグル
ープのバンド演奏があってたこと。4階まで吹き抜けのホールであってた演
奏は、上の階で作品鑑賞中も聞こえてきた。ゴッホがこれを喜ぶのだろう
か?2番目の理由は館の前でチケットを持たない列(私達も)と何らかのチケ
ットを持った列が3列並んでいたが、私達の列はなかなか進まず、有志が苦
情を言ってやっと列が動き始めた。これらはゴッホが関係したことではない。


ゴッホは可哀想だ、読んでると悲しくなってくるとklaちゃんは言う。なかな
か絵が評価されずに、弟が一生懸命資金援助をしてくれるが何時までも貧
乏で、弟に報いることも出来ない。純粋な心の持ち主だった。純粋だからこ
そ人と衝突し、絵を描く情熱は冷めることを知らず、心を病み、ついに命を絶
ってしまった。


遅い夕食をイタリアン・レストランで摂りました。メニューを見て店主にカラマ
リってなんだったっけ?と尋ねたところ、おじさん注文取るメモ紙にクラゲか
イカかわからんような絵を描いた。
「あ、インクフィッシュ!?」
「シ。シニョーレ」
という訳で、イカのリングフライにありつけたのであります。

(続く)
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